飲食店の内装デザインを考案する際に意識したいポイント

飲食店の内装デザインを考案するには、まずコンセプトを決めることが重要です。それを基に店舗内の動線を意識したレイアウト、雰囲気に合った照明と配色を考案していくこととなります。
資金は集まったものの、店舗の内装デザイン案がなかなか決まらないと悩んでいるオーナーさんは多いことでしょう。飲食店の内装は、客入りや売上を左右する大事な要素であるため安易に決めてしまうと失敗しやすい場所でもあります。従業員が働きやすくてなおかつお客様の好感度を上げる、理想の店舗デザインのためのポイントを解説していきます。

最初に店舗のコンセプトを決めておく

飲食店 内装

内装デザインを決める上で何よりも大事なのが、店舗のコンセプトを決めておくことです。外観・内装はもちろん、インテリアや照明からWebサイトに至るまで決定したテーマを反映させることとなるためじっくり丁寧に決めることが大切です。オープンする場所・環境はどんなエリアで、どういった製品・サービスを提供するお店で、なおかつどの客層に利用してもらうのかを考えましょう。
突拍子もないアイデアでも良いので、思い付く限りの理想の店舗のコンセプト・条件を紙に書き出してみてください。頭で考えているだけでは堂々巡りしがちであるため、紙に書き出すことで明確化します。店舗のコンセプトに限らず、経営のためのアイデアやメニュー考案など悩みやすい事項をまとめる際に有用なテクニックなのでぜひ活用することをおすすめします。
加えて紙に書き出すメリットは、内装のデザイナーや不動産屋に条件・アイデアを伝える時に役立ちます。たとえば一口にカフェと言っても街の人たちの憩いの場なのか、コーヒー愛好家が自然に集まるお店なのか、はたまた仕事や勉強がはかどる閑静なカフェなのかで必要とする物件・デザインは大きく異なるでしょう。
同じようにレストランやバー、居酒屋・定食屋など漠然とした種類だけでなくどんな利用のされかたを希望しているのか明確に決めることが大事です。これにより店舗コンセプトに見合った環境や建物の物件が紹介されやすくなり、事業の成功に一歩近付くという訳です。デザイナーについても同様であり、より優れたデザインを施してもらうためにもできるだけ細かくコンセプトを決定します。

実用的な面から内装・レイアウトをデザインする

飲食店 内装

飲食店における内装デザインは、動線およびレイアウトの反映が不可欠です。スタッフの動きはもちろん、お客様の動きを妨げない快適な環境作りが大事になります。特に飲食店においては、レジ・厨房やインテリアを適切な配置にすることが大切です。この3つを適切に配備するだけでも、従業員・お客様の両側から好感を持たれやすくなるため意識しましょう。
レジのレイアウトは重要であり、配置が決まれば他のレイアウトも決めやすくなる部分です。食事をする空間と、お金を支払う空間とを明確に区分すると良いです。多くは入口付近に設置することとなり、従業員がレジに入りやすい位置にすることがポイントとなります。インテリアのレイアウトはお客様の過ごしやすさ、店舗の雰囲気・印象を左右する部分です。理想とする店舗やコンセプトの近いお店のデザインを参考にしつつ、内装に反映していきましょう。
厨房に関しては調理と片付け、飲み物の提供の3つの動きを考慮して決める必要があります。調理にはストックから食材を取り出す場所、食材の下処理を施す箇所と加熱および盛りつけの場所、そして客席に提出する動きを意識して決めます。 片付けの動きに関しては、配膳の動線と重ならないように工夫することが不可欠です。
配膳のスタッフと、片付けを行うスタッフが衝突しないようにシミュレートして考案するようにしてください。ドリンクの提供に関しては、移動の距離と時間を考慮して配備します。たとえば調理場の中にドリンクコーナーを作ると、準備してから提供するまで時間がかかってしまうため外に設置するといった対処が必要です。

お店の雰囲気をコントロールする照明にも気を配る

飲食店 内装

店内の過ごしやすさ・快適性や印象はもちろん、売上も大きく左右するため照明は非常に重要です。おしゃれな部屋・空間を演出する上で、インテリアよりも照明器具の方が大きく効果をもたらすと言えばわかりやすいでしょう。店舗における照明で意識したいのは、照明の明るさと色の2つの要素です。
お店のコンセプトと照らし合わせつつ、適した照明を選定することが重要です。 飲食店の業態によって、明るさを調整する必要があります。おしゃれな店舗は暗めに、大衆的で回転率を重視するのであれば明るめを意識すると理解しやすいです。
高級感やレトロモダンをベースとするお店であれば、天井部分は明るくして手元に近付くにつれて暗くするといった工夫が必要です。一方で回転率を重視するファミレスや定食屋では、基準値よりも明るめを意識します。人間は明るいほど緊張感が増し、暗いほどリラックスしやすくなります。
こういった心理面の効果を考慮した上で、店舗の業態やコンセプトに合致した明度を演出すると良いです。 次に照明の色味は、雰囲気作りと売上に大きく貢献する要素です。電球色や温白色などオレンジ色に近いほど、暖かさやぬくもりを演出します。白色や青白いカラーに比べて暗めであるため、より落ち着いた印象となり長居して欲しい店舗に最適です。
逆に昼白色や青白い昼光色に関しては、集中力が増すものの緊張感まで生み出してしまいます。長くゆっくり過ごして欲しいと考えている店舗に設置すると、逆効果になるため注意してください。自然に近い色の照明に関しては、料理をおいしく演出してくれます。一方で演色性の低いものに関しては、食材の本来のカラーを損なうものであり食欲を下げてしまう点もよく覚えておきましょう。

内装の色味・配色も店舗を印象づける大事な要素

飲食店 内装

照明と大きく関わりますが、内装の配色も非常に重要な要素の1つです。カラーリングはお店に対する印象、居心地の良さを決定づける部分だからです。たとえば赤色は見る人を元気づけるなどポジティブなカラーであるものの、緊張感が増してしまうため部屋の壁面の全部に使うにはかなり難易度の高い色味となります。
もちろんこれはかなり奇抜な色味ですが、ただおしゃれな店舗が使用しているからと安易に採用してしまいがちであるためよく考えて配色を行うべきだと覚えておいてください。配色のルールとして念頭に置いておきたいのが、使用するカラーは3色程度におさえておくとまとまりやすいという点です。色味が増えるほどに情報量が増えて、緊張感も増していくからです。
落ち着いた雰囲気、リラックスした空間を演出するには色味を抑えた方が良いでしょう。 色味を抑えすぎて地味になる、印象が薄くなってしまう場合はアクセントとなる差し色を使うと効果的です。
通常の物件では壁紙に白やアイボリーを採用しているため、それに合わせて白色で構築しすぎてしまうと物足りない印象になりがちです。あえて原色を差して、金色や金属などのアクセントを配置させると印象が変わりやすくなります。
色味やインテリアの選別に自信がなければ、空間デザイナーに相談するのも1つの手です。専門家によるカラーコーディネートで、快適かつコンセプトに沿った色味にできるのであれば利用しない手はありません。ただデザイナーにも得手・不得手があり、理想とする店舗のテイストにマッチしているかどうかを確認してから相談することが大事になります。

お客様が過ごしやすく良い印象となる内装デザインを施すには、明確かつ入念な店舗コンセプトの考案が不可欠です。レイアウトや色味・照明など雰囲気を作るにしても、コンセプトが具体的でなくてはマッチしたデザインがしにくくなってしまいます。理想とするお店がどんなものか、お客様にとってどんな空間にしたいのかを整理して明確化しておくことが大切です。